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プライアント株式会社 2020年度 人事ポリシー

人事制度の役割

社員と共に育ち・成長しながら、会社の経営理念とビジョンを実現すること、これが人事制度の役割です。会社の経営理念とビジョンを実現しているかどうか、即ち人事制度が上手く機能しているかの物差しは、「会社が地域になくてはならない存在であるか」にありますが、それはお客様からの支持だけではなく、同時に働く社員自身が「仕事を通して地域になくてはならない存在であるか」を強く意識できているかどうかも判断材料となります。つまり、人事制度とは、単なる仕事の内容や給与を始めとした処遇の制度でも、強固な会社組織を創るものでもなく、会社と社員が事業(仕事)を通して社会に貢献するための仕組みづくりなのです。

会社はそれができていれば事業が発展し、社員は自分の仕事内容がどれだけ社会に貢献しているかの度合いが物心両面の幸福に繋がっていきます。私たちはサービスを通してお客様からお金をいただくことで会社が成り立っています。人事制度とは会社のための社員制度ではなく、「社会のための社員制度」であることを再確認してください。

 

ガラパゴスから脱皮していく人事制度(組織から個の集合体へ)

これまで日本の人事制度は世界でも大変ユニークなものでした。終身雇用、年功序列の組織文化に培われた日本の人事は、同じく、人材を大事にする傍ら、個人の成長というより、揺るぎない組織を築くことに重きが置かれてきました。高度成長時代にはそれが必要かつ有効だったからです。むしろ、強い組織を作るために、大勢の社員を等しく扱い、規律を乱さない、上意下達がうまくまわるような組織を作ってきました。より組織に主体性を置いた仕事環境だったわけです。よって、日本企業の評価制度は、管理側の視点で設計されていました。その代わり、日本の人事は、終身雇用をベースに定年までの社員の長いライフサイクルをベースとした制度設計をしています。そこには、社員は会社を辞めないという前提がありました。しかし、ここ数年前から日本でも組織より個人のパフォーマンスや成長に重きを置いた評価を取り入れる企業が出始め、今回のコロナ禍の影響でそれが一気に加速されました。

社員の皆さんは、昭和や平成の働き方が「当たり前」だと信じないでください。あれは「不変なもの」でも「スタンダードなもの」でもなく「ある時代」に過ぎません。これからの働き方は、親や祖父母の働く姿を見てきた経験や、昭和・平成での自身の勤労体験をベースに動いてしまうことは、仕事人生においては生きづらい時代となります。しかし、それは世界の当たり前に近づいている事実でもあります。世界は、組織よりも個の能力に主体性を置いた仕事環境、評価制度も管理側の視点ではなく、個の能力を重要視しています。いわゆる「全てはあなた次第」の人事制度がワールド・スタンダードなのです。

しかし当然ながら完全に組織がなくなるわけではありませんし、個がやりたい放題できるわけでもありません。軍隊の組織ではなく、個々の能力を生かして敵と戦うアベンジャーズのようなチーム作りがこれからの人事制度です。これまではウルトラマンや仮面ライダーなど一人のヒーローとその他大勢(ウルトラ警備隊や警察など)がヒーローものの主流でした。しかしこれからは全員が主役です。仲間と協調しながら、あなたも自分の強みを生かし、弱みを克服しながら、自ら飽くなき成長を追及していかなければなりません。

 

様々な能力・個性を持つヒーローが集まる映画「アベンジャーズ」

 

2015年に公開されたハリウッド映画「マイ・インターン(原題:The Intern)」は、日本の近い将来が見える大変素晴らしい映画です。ぜひ観てください。

妻に先立たれ、一度会社をリタイアした70歳の男性を演じるベン役のロバート・デニーロ(当時72歳)は、アン・ハサウェイ扮する若き女性経営者ジュールズが経営するファッション通販会社のシニア・インターンへ応募します。

公開は2015年でしたが、映画は2014年9月に撮り終わりました。つまり今から約6年前に作られたストーリーですが、既にシニア雇用が映画の題材になり、採用面接では自分でビデオを撮影してYouTubeにアップすることを求められています。こちらは映画の最初のシーンでベンが自宅で採用面接用のビデオを撮影している様子です。

 

 

(日本語訳)そこでシニア・インターンに応募しました。考えれば考えるほどワクワクします。毎日通う場所ができるのは素晴らしいことですし、人と接し、刺激を受け、挑戦し、誰かに必要とされたいです。技術には疎く、”USB接続とは何か”9歳の孫に聞いたくらいですが、これから勉強します。喜んで勉強します。

また、お伝えしたいのは、私はずっと会社側の人間でした。誠実で責任感があり危機に強いのが私の強みです。

長年ブルックリンに住んでいますが、最近街がおしゃれに変わってきています。そんな環境の変化の中、私も変わっていきたいと思っています。

“音楽家の引退は自分の中に音楽が消えたとき”とある書物で読みましたが、私の中にはまだ音楽があります。確実に音楽が鳴っています。

 

こちらをご覧になって、違和感がある方は少ないでしょう。シニア雇用もYouTubeも身近に感じるようになったからです。しかしこの映画が2015年に日本に来たときには映画のプロモーションの切り口が違っていました。

アメリカのオリジナル版のタイトルは「The Intern」。つまり、オリジナルでは、インターンをするロバート・デニーロの存在に重きを置いています。それを裏付けするのは、英語版のオリジナルのキャッチコピー「Experience Never Gets Old」。「経験は決して歳を取らない」という意味のキャッチコピーからは、シニアキャリアの貴重さを表現しています。しかし、日本語版のタイトルは「マイ・インターン」。そして日本語版のキャッチコピーは「すべてを手に入れた彼女に訪れた試練。そこにやってきたのは、70歳の新人(インターン)だった」となっていました。つまり、日本版のタイトル「マイ・インターン」は、アン・ハサウェイの演じるジュールズを主軸に置いた、彼女が雇用するインターンの意味であり、キャッチコピーは、彼女の視点から描かれた、彼女の元にやってきた70歳のインターンとの仕事を通した成長物語という印象を受けます。つまり、5年前の日本では、「Experience Never Gets Old(経験は決して歳を取らない)」を前面に出したシニアキャリアやシニア雇用などのダイバーシティ経営はまだウケない時代、多くの日本人がピンとこない時代で、若い女性経営者の成長物語の方がウケると考えられたのです。

そして今年、アマゾンは「アマゾンで働くということ」をテーマにWEBサイトやCMを通して、彼らの仕事を通しての誇りや社会的地位をアピールすることを始めました。そこでこのCMをご覧ください。

 

 

CMの中の野中勝さんは、まさに映画「マイ・インターン」のロバート・デニーロではないでしょうか。日本もようやく年齢・性別・国籍・人種・宗教・身体的特徴の有無を問わず、「仕事を通して成長したい」「自分の存在を社会に貢献したい」個の思いや主張を汲み取る社会へと変わってきているのです。会社も個の人生を豊かにする舞台提供の場としての役割を担い始めてきているのです。

日本は確実にガラパゴスから抜け出そうとしています。しかし、国全体がガラパゴスから抜け出だす頃に自分自身も抜け出すのは、個人の成長において周回遅れのスタートになります。個の時代が来ているのがわかっているのに、敢えて周回遅れするのは大変もったいないことです。まずは一日も早く「自分の中のガラパゴス」から脱出しましょう。

最後に、個の時代=わがままの時代ではないことは認識してください。現在は、社員の皆さんにとって、会社とは選ぶ存在であり、会社は、社員の皆さんや求職者の方々から選ばれる存在です。(よって、社員の皆さんにおいては、ご自身が選んだ会社の経営方針や経営計画は尊重していただきたいです。社員の皆さんには、会社の経営方針や経営計画にはぜひ参画していただきたいですし、個の主張は喜んで傾聴します)

しかし、10年も経てば、会社は、社員の皆さんや求職者の方々から選ばれる存在だけではなく、「会社が社員の皆さんを選ぶ時代」へと突入します。欧米や中国のように会社が社員を簡単にリストラができるかどうかは国の法改正次第ですが、確実にその方向性には進んでいます。個の時代=個にとって厳しい時代となるということです。だからこそ、昭和や平成の働き方が「当たり前」だと信じてはいけないのです。周回遅れとならないために、今から個の研鑽を積んでいく必要があるのです。それが2017年の経営計画書から3年間社員の皆さんに啓蒙してきた「個の時代・個の成長・個の集合体」に繋がります。今年度のWEB経営指針(これまでの経営計画書の意)のテーマは「個の時代の実践・自己成長に覚悟と責任を」です。もう実践をしていただくステージに入りました。待ったなしです。皆さんの「覚悟と責任」をお願いします。

 

プライアント株式会社 2020年度 人事ポリシー

当社は、下記の人材を尊重します。

  1.  企業活動の中では柔靭成長を核とし、”I am Pliant” を目指す人材。
  2.  会社の経営計画に共感し、共に実践する人材。
  3.  挑戦を大げさなものだと感じず、挑戦を先延ばしにせず日常とする人材。
  4.  自己だけではなく、周囲を巻き込んで切磋琢磨する人材。
  5.  明るく、元気で、素直な(「明元素」を実践する)人材。
  6.  自己成長を地域、お客様、同僚に還元できる人材。

当社は、下記の方針で人事制度を構築します。

  1.  年齢・性別・国籍・人種・宗教・身体的特徴の有無を問わない人事制度を構築する。
  2.  自己実現、柔靭成長の追い風となる評価制度構築を目指す。
  3.  地域社会において価値ある人材に導く評価制度構築を目指す。
  4.  成長と成果を科学的に評価し、納得性のある評価・処遇を行う。
  5.  会社は社会の公器。よって、会社貢献=社会貢献とし、会社の貢献度を人事制度の基軸とする。

以上

 

プライアント株式会社 代表取締役社長 橋口 久
2020年7月1日

 

 

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